2020年11月30日(月)

29日(日)、昼過ぎ起床。晴れ。
これといってなにもせず、ぼんやりと家で過ごす。なんとなく、太宰治『トカトントン』を読む。George Harrison『All Things Must Pass』を聴く。

30日(月)、昼過ぎ起床。晴れ。
やはりこれといってなにもせず、ぼんやりと家で過ごす。ピエール・ブルデュー『ディスタンクシオン』を読み始める。

2020年11月28日(土)

午前10時起床。快晴。強風。

気付くのがずいぶん遅かったが、世界では、厨二病の気配など取るに足らない、という精錬の先であたらしいものたちが確かな歩みを進めていた。無駄な自意識で目が霞んでいたのだろう。表層はほどほどに、しかし根幹は確信のもとに鍛え上げられているそれらの圧倒的速度にちっとも追いつけていなかったのだ。
基本的に、時間はやり方次第で工面できるはずだから焦らずに着実な歩みを、と考えていたせいで、時間の無さを体現した性急にも見える振る舞いだけが宿す洗練と高尚のことを見落としていたのだ。

少し、やるべきことのやり方、その糸口の気配を感じる。

いままでのように、あたらしい感覚が言語化され、周知される手順はもうない——それを前提とした、野性的ともいえる感覚とそれに伴う筋肉を意識的に保持したものだけが然るべき場所で会話を交わす。

ずいぶん遅れてしまったものの、ここ数年に渡る、無意識のうちに体に貼り付いてしまったあれこれが、その痕を残すことなく自然と剥がれ忘れ去られるのを待つための時間は、やはり有益だったのかもしれない。

いまはこの先のイメージがある。見当外れでなければ良いが。

2020年11月27日(金)

午前八時起床。曇天。雨の予報だったが一日持ち堪えた。

夕方、通院。自転車に乗るには手袋が欲しい気温になった。新しい手帳を買う。特に愉快なことはなし。

2020年11月26日(木)

午前9時起床。晴れ。洗濯。幾つか雑務。

ところで、HSPという言葉があるそうだ。Highly Sensitive Personの略で、ある性質を持つ人を指すとのこと。その中でも特にHSSと呼ばれる性質があり、High Sensation Seekingの略であるそれは、Highly Sensitiveでありながらも刺激を求めるタイプで、つまり苦手なものを苦手でありながらも欲するという矛盾を内包しているらしい。
簡易な診断テストをやってみたが、おれはそのHSSの気質に「間違いなくこれだ」と思う程度に当てはまり、それ以降、この言葉が気になっていると同時にいろいろと腑に落ちてもいる。

それで酒の話なのだが、おれは酒は弱くないが、好んで飲みもしない。HSSのことを念頭に考えてみると、人と酒を飲んでいる時のおれは、アルコールの力で鈍化しながらも、無意識にそれに抗おうとするためさほど酔わず、ひとりになった時にまとめてそのダメージを受けている。あまり眠れなくなる。結果、何かをはじめてしまい、翌日に疲労が出る。
人と呑んでいる時に眠くなるひとがわからないし、羨ましかった。振り返れば、他者に気を許していないというのもあったかもしれないが、鈍化とそれへの抵抗という無意識の葛藤が眠気を許さなかっただけなのかもしれない。

休むにはとにかく眠るしかなかった。そして夢は日中の情報——それが、過剰なのだ——を冷酷に仕分けた像を見せるから、膨大な質量のそれは起床後しばらく現実をとおざけ、なおかつ大きく歪ませた。

そのくせに、なにかおもしろいことはないのか、が口癖で、実際そう想っている。
できれば酒の力でも借りてこのくらだない日常に屈服したいが、それを許してもらえず、素面で苦手な場所へと乗り込まなければならない。だから、少し酔っても、酔っていることが面倒に感じられ始め、好きでも無い珈琲をすすりだし、酔ったひとびとが感じているであろう満足に苛立ち始める。困ったことだ。

今日は珍しくビールを呑んだのだった。そのせいでこんな日記を書いている。そのせいで!
終始疲れているが、鈍化させてはもらえない。
別にわかってもらいたくもないし、すべてを許したくもない。いちばんの困りごとはこの難問が嫌いでは無いということで、行ったことのないハワイのビーチでピニャ・コラーダでも飲みたい夢想が時折——、ただ、二、三杯飲んだあとはなぜこんなところにいるのか、早く帰国し、家でやりたいことがあると苛立ちはじめてしまうだろう。
そもそも、その苛立ちのためにハワイとピニャ・コラーダはあるのではないのか。全く、なんとかならないものだろうか。

2020年11月25日(水)

午前七時起床。雨。寒い。

夜、外から蝉の鳴き声が聞こえると思ったが、道路工事の音だった。『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の世界観を一瞬感じたが、映画にそんなシーンがあったかは覚えていない。年中工事をしている大きな幹線道路も冬の空気とあいまればやはり年の瀬を感じさせる。いつの間に冬になったかはわからない。そろそろずっと同じ一日を繰り返しているような気になりそうだ。

音楽はTold Slant『Point The Flashlight and Walk』。