2020年11月26日(木)

午前9時起床。晴れ。洗濯。幾つか雑務。

ところで、HSPという言葉があるそうだ。Highly Sensitive Personの略で、ある性質を持つ人を指すとのこと。その中でも特にHSSと呼ばれる性質があり、High Sensation Seekingの略であるそれは、Highly Sensitiveでありながらも刺激を求めるタイプで、つまり苦手なものを苦手でありながらも欲するという矛盾を内包しているらしい。
簡易な診断テストをやってみたが、おれはそのHSSの気質に「間違いなくこれだ」と思う程度に当てはまり、それ以降、この言葉が気になっていると同時にいろいろと腑に落ちてもいる。

それで酒の話なのだが、おれは酒は弱くないが、好んで飲みもしない。HSSのことを念頭に考えてみると、人と酒を飲んでいる時のおれは、アルコールの力で鈍化しながらも、無意識にそれに抗おうとするためさほど酔わず、ひとりになった時にまとめてそのダメージを受けている。あまり眠れなくなる。結果、何かをはじめてしまい、翌日に疲労が出る。
人と呑んでいる時に眠くなるひとがわからないし、羨ましかった。振り返れば、他者に気を許していないというのもあったかもしれないが、鈍化とそれへの抵抗という無意識の葛藤が眠気を許さなかっただけなのかもしれない。

休むにはとにかく眠るしかなかった。そして夢は日中の情報——それが、過剰なのだ——を冷酷に仕分けた像を見せるから、膨大な質量のそれは起床後しばらく現実をとおざけ、なおかつ大きく歪ませた。

そのくせに、なにかおもしろいことはないのか、が口癖で、実際そう想っている。
できれば酒の力でも借りてこのくらだない日常に屈服したいが、それを許してもらえず、素面で苦手な場所へと乗り込まなければならない。だから、少し酔っても、酔っていることが面倒に感じられ始め、好きでも無い珈琲をすすりだし、酔ったひとびとが感じているであろう満足に苛立ち始める。困ったことだ。

今日は珍しくビールを呑んだのだった。そのせいでこんな日記を書いている。そのせいで!
終始疲れているが、鈍化させてはもらえない。
別にわかってもらいたくもないし、すべてを許したくもない。いちばんの困りごとはこの難問が嫌いでは無いということで、行ったことのないハワイのビーチでピニャ・コラーダでも飲みたい夢想が時折——、ただ、二、三杯飲んだあとはなぜこんなところにいるのか、早く帰国し、家でやりたいことがあると苛立ちはじめてしまうだろう。
そもそも、その苛立ちのためにハワイとピニャ・コラーダはあるのではないのか。全く、なんとかならないものだろうか。