16日以降、十日近く日記が空いてしまったので断片的な記憶しか残っていない。
18日(金)、飼い猫だったもきちの二周忌。写真や遺品などの手入れ。ついでに、りゅう、デーデ、ミイちゃんの写真も綺麗にする。
空白の間、まだ読んでいないものもたくさんあるのに新しく本を何冊か買う。小林秀雄と岡潔の雑談を編んだ『人間の建設』においては、間違えて二冊も買ってしまった。
岡 <……>矛盾がないということを説得するためには、感情が納得してくれなければだめなんで、知性が説得しても無力なんです。ところがいまの数学でできることは知性を説得することだけなんです。<……>人というものはまったくわからぬ存在だと思いますが、ともかく知性や意志は、感情を説得する力がない。ところが、人間というものは感情が納得しなければ、ほんとうには納得しないという存在らしいのです。
小林秀雄・岡潔『人間の建設』、新潮社、2010年、40ページ
小林 近頃の数学はそこまできたのですか。
岡 ええ。ここでほんとうに腕を組んで、数学とは何か、そしていかにあるべきか、つまり数学の意義、あるいは数学を研究することの意味について、もう一度考えなおさなければならぬわけです。
新潮文庫として編まれたのは2010年のことだが、初出は『新潮』1965年10月号。人間のイリュージョンを数学が解明したのは半世紀以上も前のことのようだが、それからの時間、人間は知性を失い続け、感情だけで納得できるようになったようだ。感情が納得さえすれば、知性はいらないのです。
22日(火)、夜、テレビで『姉ちゃんの恋人』最終回。良いドラマだった。
音楽は、三村京子『岸辺にて』。