2021年10月5日(火)

『Be the Cowboy』のツアーを最後に無期限の活動休止を宣言したMitskiだが、6日未明、新曲がリリースされたことを知る。
『Working for the Knife』は暗い歌だが、彼女の新しい曲が聴けることが嬉しい。

ファン、という言葉に無頓着だったが、Mitskiのファンなのかと問われれば、すっかり出不精になってしまったおれが彼女の来日単独ライブには二度も足を運んでいて、おそらく大ファンなのだろうし、もしこれからアルバムがリリースされ、それに関連した来日があれば喜び勇んで出向くだろう。

ファンといえば、今年7月5日付けの日記に記したとおり、ここしばらくはまっている蛙亭が「キングオブコント2021」の決勝に進出したため、今月2日、にわかに緊張しながらテレビの前でその時間を待っていた。トップバッターでの出演に面食らいつつ大いに笑う。それはすこぶる面白い大会となり、日本のお笑いと呼ばれるものが、とつぜん笑いの核心を中心として回転しはじめた感触すら受け、いったいなにがそうさせたのかはわからないものの、感動があった。

ファンの話はまだ続く。大学を卒業して数年経ったころだったと思う。歌手になった大学の先輩がライブをするというので、当時住んでいた京都のライブ会場に足を運んだ。そこでなんの前情報もなくその歌を聴いたのが、もう一人の出演者である三村京子さんだった。帰宅後、すぐに1stアルバムを買い、間もなくリリースされた2ndアルバムはずいぶん聴いた。特に愛聴しているのはその後の3rdと4thで、おそらく人生でもっとも聴いているミュージシャンだと思う。
2015年、すでに着手していたものの書きあぐねていた拙作『イサナの歌』のことばかり考えていた当時、三村さんのアルバム『いまのブルース』がリリースされると知る。住まいを東京に移していたおれは、神保町でのレコ発ライブで彼女の歌を聴き、当時、どうしても頭の中で渦巻いていた『イサナの歌』のいろいろが、それぞれ居場所を見つけたような感覚を得、その後、繰り返し『いまのブルース』を聴く中でそれは、自分にとってもっとも手応えのある作品になった。ところが、それにも関わらず、それまでの拙作を喜んでくれていた友人からの反応は芳しくなく、では、その隙間にはいったいなにがあるのか、とここ数年考えあぐねていたのだった。
そんな折、といってもごく最近のことだが、ふとしたきっかけから三村京子さんにコンタクトを取り、『イサナの歌』を読んでもらえないかお願いする機会を得た。実は、数年前にも同様のことを試みており、その時はうまく連絡が取れなかったのだが、今回は念願叶い、読んでいただいたうえに嬉しい感想まで頂いた。ふたたび頭の中のいろいろなことが整頓されてゆく心持ちだった。

上記のいろいろは、ファンであることの僥倖なのかもしれない。でも、そことは少し線を引きたい気持ちもある。もっとシンプルな言葉で言い表したいが、その気持ちとはなんだろう。
ともかく、またしばらくはがんばれそうだ。
おれはずっとそうやってきたからか、あまり孤独を感じたことがない。ずっと芸術に助けられている。